人気名前と世相との関係

日本人の年別名付けランキング歴代第一位一覧表です。

こうして名付けランキングを見ていくと日本人の名前にはその時代の世相が色濃く反映されていることが分かります。そうした時代背景と名前の由来を紐づけて、その関係性を一覧表にしていました。

あなたのお名前にはどんな思いが込められて位のでしょうか?ぜひこれを機会に考えてみてください。

なお本ページのデータは明治安田生命の名前ランキングを元に作成しております。

男性女性時代背景との関係
1912年
(大正元年)
千代
この年より大正時代に入ったこともあり、年号の「正」を名前に付けることが多くなった。
1913年
(大正2年)
1914年
(大正3年)
静子
1915年
(大正4年)
千代

日清日露戦争の勝利と第一次世界大戦(1914-18)の好景気により列強と肩を並べるべく試行錯誤している時代。

そんな中強さの象徴である武士道を手本とした精神論が盛んに取りざたされ“清く生きる”という道徳観・人生観から「清」の字が好まれた。

1916年
(大正5年)
辰雄
1917年
(大正6年)
三郎千代子
1918年
(大正7年)
1919年
(大正8年)
三郎
1920年
(大正9年)
1900年代初頭には女子大学が設立、1921年には与謝野晶子らにより日本初の男女共学成立等女性教育が進んだ事もあり、教育の代名詞であった文学の「文」の字が使われた。
1921年
(大正10年)
1922年
(大正11年)
1923年
(大正12年)
1924年
(大正13年)
戦前の貧しい時代まだ日本には医療環境が整っていなかったことなどの影響からか、女性には「千代」「久」「幸」など長寿を願う名前が目立つ。
1925年
(大正14年)
1926年
(昭和元年)
1927年
(昭和2年)

1926年に年号が「昭和」に代わり、「昭」と「和」の字を付けた名前が一躍人気になります。

男の子は面白いことに昭和2年に昭二さん、昭和3年には昭三さんが一位になっています。

その後長く続く昭和ですが、「和」の字を使った女子の名前は実に1952年まで23回も一位に輝いています。

1928年
(昭和3年)
1929年
(昭和4年)
1930年
(昭和5年)
1931年
(昭和6年)
1932年
(昭和7年)
1933年
(昭和8年)
1934年
(昭和9年)
1935年
(昭和10年)
1936年
(昭和11年)
1937年
(昭和12年)
1938年
(昭和13年)

第二次世界大戦(1939-45)が勃発し戦争へ向けて挙国一致が叫ばれていた。

そんな中戦争への勇ましい姿勢や、敵に打ち勝つことをが意識され「勇」や「勝」の字が人気となった。

1939年
(昭和14年)
1940年
(昭和15年)
紀子
1941年
(昭和16年)
1942年
(昭和17年)
洋子
1943年
(昭和18年)
1944年
(昭和19年)
1945年
(昭和20年)
1946年
(昭和21年)
敗戦後の1946年から男の子の名前にランキングされた内容はこれまでと一変し、軍人から文人へ憧れの対象が変わったためか「博」の字がトップを占め、戦後復興を反映した「稔」「実」「隆」「明」「豊」豊かさや希望を表す文字が多くランクインした。
1947年
(昭和22年)
1948年
(昭和23年)
1949年
(昭和24年)
1950年
(昭和25年)
1951年
(昭和26年)
今では当然の権利となっている公職選挙法、生活保護法等や、日米安保条約等を締結させるなど歴史的な活躍をした当時の首相吉田茂氏にあやかり「茂」の字が人気となった。吉田内閣は54年の第5次まで続いた。
1952年
(昭和27年)
1953年
(昭和28年)
恵子
1954年
(昭和29年)
恵子
1955年
(昭和30年)
洋子
1956年
(昭和31年)
恵子
1957年
(昭和32年)
恵子

1950年代半ばから60年代初め頃に映画界では忠臣蔵ブームとなり毎年のように上映、まあ1962年から司馬遼太郎の「燃えよ剣」が連載、1965-66年にはテレビ化もされ新選組ブームとなる。

高度成長期の日本において「忠義」「誠実」を題材とした作品が人気といった概念がクローズアップされたこともあり、「誠」の字が人気となった。

さらに1973年人気劇画「愛と誠」の連載が少年マガジンで始まり、1976年に人気となったギャグマンガ「まことちゃん」の連載が少年サンデーで始まった。

このように映画やテレビ、漫画などの影響で名前が付けられるようになったのもこの頃と言える。

1958年
(昭和33年)
恵子
1959年
(昭和34年)
恵子
1960年
(昭和35年)
恵子
1961年
(昭和36年)
恵子
1962年
(昭和37年)
久美子
1963年
(昭和38年)
由美子
1964年
(昭和39年)
由美子
1965年
(昭和40年)
明美
1966年
(昭和41年)
由美子
1967年
(昭和42年)
由美子
1968年
(昭和43年)
健一直美
1969年
(昭和44年)
直美
1970年
(昭和45年)
健一直美
1971年
(昭和46年)
陽子
1972年
(昭和47年)
陽子
1973年
(昭和48年)
陽子
1974年
(昭和49年)
陽子
1975年
(昭和50年)
久美子
1976年
(昭和51年)
智子
1977年
(昭和52年)
智子
1978年
(昭和53年)
陽子
1979年
(昭和54年)
大輔智子

戦後の復興が進みテレビの影響力が大きくなった

男の子は甲子園で大活躍した野球選手荒木大輔ブームから「大輔」、女の子は様々な恋愛ドラマの影響からか「愛」の字が人気となった。

1985年ごろから漫画・アニメで「タッチ」が大ブームとなり徐々に「達也」が上昇し1987年についに1位に輝いた。

1980年
(昭和55年)
大輔絵美
1981年
(昭和56年)
大輔
1982年
(昭和57年)
大輔裕子
1983年
(昭和58年)
大輔
1984年
(昭和59年)
大輔
1985年
(昭和60年)
大輔
1986年
(昭和61年)
大輔
1987年
(昭和62年)
達也
1988年
(昭和63年)
翔太
1989年
(平成元年)
翔太
1990年
(平成2年)
翔太
1991年
(平成3年)
翔太美咲

昭和の末期からは高度経済成長の時代から自由や個性が尊ばれる時代となった。

名前にも個性的なものが増え、男の子では自由や自然を連想する「樹」「海」「翼」、のびのび育ってほしいという「太」「大」「翔」「悠」「健」などの人気も高まり、女の子には花を連想させる「咲」「花」「菜」などの文字、ひらがなのみの名前なども注目された。

名前に個性が出始め、極端に特定の名前に人気が集中しなくなったことにより、名前ランキングにも同率1位となる現象が現れ始める。

1992年
(平成4年)
拓也美咲
1993年
(平成5年)
翔太美咲
1994年
(平成6年)
健太美咲
1995年
(平成7年)
拓也美咲
1996年
(平成8年)
翔太美咲
1997年
(平成9年)
翔太明日香
1998年
(平成10年)
大輝
1999年
(平成11年)
大輝未来
2000年
(平成12年)
優花
さくら
2001年
(平成13年)
大輝さくら
2002年
(平成14年)
駿美咲
2003年
(平成15年)
大輝陽菜
2004年
(平成16年)
美咲
さくら
2005年
(平成17年)
大翔
陽菜
2006年
(平成18年)
陽菜
2007年
(平成19年)
大翔

ここ最近は名前を個性的する傾向が強くなり、読み方にこだわらず漢字を付けるなど「キラキラネーム」と呼ばれるものが増加している。

こうしたブームの中2008年に悠仁親王さまがご誕生され、「悠」の字が人気となり2013年にはついに「悠真」が一位となる。

2008年
(平成20年)
大翔陽菜
2009年
(平成21年)
大翔陽菜
2010年
(平成22年)
大翔さくら
2011年
(平成23年)
大翔
結愛
陽菜
2012年
(平成24年)
結衣
2013年
(平成25年)
悠真結菜
2014年
(平成26年)

陽菜
2015年
(平成27年)
大翔
2016年
(平成28年)
大翔
人の名前は、その親が子供へ込めたたくさんの想いが詰まっています。それはその時代に生きる人々の生き方や考え方、また政治、経済、社会情勢が色濃く反映されることが良く分かります。 これをきっかけに自分の名前と向き合ってみるのもいいかもしえませんね。

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